こんにちは。冨樫純です。
「ブームからイデオロギーへ」についてのコラムを紹介します。
法律で規定されていることに驚くと同時に、なぜ法律で規定したのか疑問に思いました。
極端に大きな話題にはならなかったが、2002年、健康増進法が成立した。
その第2条にはこうある。
「国民は健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯に渡って、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。」
いつのまにか、 健康であることは、国家が生存権
として保障してくれるというより、まず国民自らが果たすべき義務になってしまっているのである。
健康であることやカラダにいいことが大事になり、それを支える身体状況や栄養成分が「血液サラサラ」 「ポリフェノール」 といった言葉を通じて、メディアで一気に普及する。
食生活の改善や運動の必要性について深い知識をもつ「ヘルスリテラシー」が望ましいものとして推奨され、「成人病」が 「生活習慣病」 と言い直されることにより、日常の生活習慣のなかにリスクを発見して, 「早期発見·早期治療」することが肝要とされ,健康への強迫的な関心を生み出してきている(柄本 2003)。
健康増進法が賛否両論となる大きな話題にならなかったということ自身が、健康を否定することが難しい時代状況に入っていることを示している。
健康はブームを超えて、抗しがたいイデオロギーとなっているのである。
下記の本を参考にしました
『社会学』
新版 (New Liberal Arts Selection)
長谷川 公一 他2名