こんにちは。冨樫純です。
「条件性満腹仮説」についてのコラムを紹介します。
タバコを急にやめたとき、口がさびしくなるといわれますが、その理由が分かりました。
擬餌法という実験方法がある。
動物の胃に手術をして獲管(孔)を開けて食べた食物の一部は消化されないで穴から体外に出るようにしておき、動物に通常のように食物を食べさせる。
動物の食物摂取量は次第に増大し、経口的に(口から)摂取される食物が、十分な養分やカロリーを与えないことを学習する。
一方、獲管の蓋を閉めて食物を与えると、はじめは多く摂食し続けるが、摂取量は次第に正常のレベルに戻る。
このことから、食事後感じる満腹感は、直接的な生理的動因だけで決定されるのではなく、部分的には学習の産物だとする条件性満腹仮説が導かれることになった(Smith et al.2003)。
手術を受けた患者に、経口的に食物を与えずに、
静脈もしくは胃に直接栄養分を与えた場合、栄養的には十分であっても、口さみしい感覚が残り、意図的に食物を味わって飲み込むといった誘因刺激を強く求めるようになる。
これらの例は、食物の動機づけにおける生理的な動因と、経口に際しての種々の誘因刺激との強力な相互作用が存在していることを示している。
下記の本を参考にしました
『心理学』第5版補訂版
鹿取 廣人 他2名