こんにちは。冨樫純です。
「国民投票と民主主義」についてのコラムを紹介します。
国民投票で、国の重要問題を決定することはぼくも否定的です。
ただ、問題の内容によっては、国民投票に向いているものもあるかもしれないと思いました。
2016年6月にイギリスで行われた欧州連合(EU) 離脱 (いわゆるブレグジット)を問う国民投票では、識者の多くや与野党の政治家が EU残留の利点を説き、大方の事前予想でも残留派が上回っていたにもかかわらず、EU離脱派が勝利することになった。
直後からイギリスの通貨と株価は暴落し、また、もともとイギリスからの独立の気運が高かったスコットランドでは、独立運動が再燃している。
2017年初頭の時点でブレグジットはまだなお進行中であり、結論を出すには早急であるものの、この国民投票が大きな混乱をもたらしたことは間違いない。
実際、このような混乱を受けて、国民投票を批判する声が相次いだ。
国民の多くはブレグジットについてまともな知識すらなかったのでないかという疑念はとりわけ強く、結果が判明した直後に「ブレグジットって何?」の検索がオンライン上で急増したことが、その証拠として挙げられたりした。
また、キャメロン首相(当時)は、国家の行方を全面的に左右するような決定を安易に国民投票に委
さらねたとして批判に晒された。
だが、国民投票に対するこうした批判は、民主主義への批判にもつながりうる。
第1に、これらの批判は、民主的な決め方とは一体どのようなものなのかという問いかけを含んでいる。
ひとます民主主義を 「みんなで決めること」とした場合、有権者全員で決定する国民投票こそ、 最も民主的なあり方だと考えるのが自然なように思われる。
民主主義の原則からすれば、国家の行方にかかわる重要な事柄だからこそ国民投票にかけるべきだといえるのではないか。
国民投票の代わりに議会で決定した場合、それでも十分に民主的だといえるだろうか。
第2に、有権者の無知への批判は、民主主義が適切なのか. という問いを間接的に投げかけている。
もし有権者にまともな知識や判断が期待できないのであれば、いっそ、民主主義などやめてしまったほうがよいのではないか。
下記の本を参考にしました
『ここから始める政治理論 』
田村 哲樹 他2名
有斐閣ストゥディア