こんにちは。冨樫純です。
「松方財政」についてのコラムを紹介します。
改めて、デフレとインフレのバランスを取るのは難しいと思いました。
当時、日本はインフレだった。
作りすぎたお札(不換紙幣)がいっぱいありました。
インフレをなくすためにはどうしたらいいですか?
まず、作りすぎたお札を回収すればいい。
それから、税金を増やせばいい。
そうすればみんなが持ってるお札がどんどん政府に集まります。
当時、お札を作っていたのは、政府と全国153もある国立銀行でした。
そんなたくさんのところで勝手にお札を作るから、お札が乱発気味になってしまうわけです。
松方は考えます。
じゃあ、お札を作る道を一本化しよう。
そこで政府は日本銀行を作って、国立銀行からお札を作る権利(銀行券発行権)を奪います。
国立銀行は、お札を作れなくなりました。
これで、お札を作るのは日本銀行だけ。と思ったけど、まだ政府は作れるんです。
一本化を目指したのに、 政府と日本銀行がお札を作ることになっていました。
でも、政府は徐々に作らなくなります。
あとは、節約。
政府がお金を使わない。使わなければ、みんなから集めたお札が再びばらまかれずにすみますね。
こうやって、乱発した不換紙幣を回収します。
これがまたうまくいくんです。
世間に出回っているお札の量がガクッと減ります。
でもうまくいきすぎて、お札がガクッと減って、今度はデフレになります。
物価が下がります。
お米や生糸の値段ももちろん下がって、農民はも
ろに打撃を受けます。
だって、農民はお米や生糸を売って、お金をかせいで暮らしてるんです。 物価が下がれば、 収入が減ります。 減ったどころの騒ぎじゃなくて、半分とか3分の1になったとしたら?
これはもう、生活できないわけです。
しかも悲しいことに、税金はお米が取れなかったからといって、安くならない。
収入が減ったのに、税金は毎年同じ。
どう思います?
その結果、税金が払えなくなった自作農は、土地を売って小作農になります。
生活するために、土地を手放してしまうわけです。
そして、大地主の元に土地が集中する。
いいですか。お米や生糸の値段が下がったら、普通の農民は生活ができなくなるけど、いっぱい土地を持ってる大金持ちの地主はどうでしょう?
そりゃあ、お米や生糸の値段が下がったら損をしますね。でも、彼らは生活に困るところまではいかないんです。
たとえば、月給20万円の人が、10万円になった。生活がかなりきついだろうな、とわかりますよね。
でも、年収5000万円の人が年収2500万円になって、「なんか生活が苦しくなったよ~」と文句を言う。そんなやつがいたら張り倒すしかないでしょう?
なんで2500万円で生活できないんだよ! って感じですよね。
つまり金持ちは物価が下がっても、「今年ちょっと収入少ないなぁ」その程度です。
それだけじゃない。このチャンスを見逃しません。農民が手放した土地をどんどん買うんです。
農民は苦しくてせっぱつまってるから安い値段でも手放しちゃう。ものすごいお買い得ですよね。
それを金持ちがどんどん買って、寄生地主になります。寄生地主って? 小作農に田んぼを貸して、そのレンタル料 (小作料) だけで食っている地主のことです。
こうして農村は、貧乏な人はますます貧乏に、豊かな人はますます豊かに、二極分していくわけです。
下記の本を参考にしました
『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本』【改訂版】
金谷 俊一郎
東進ブックス 大学受験 名人の授業