こんにちは。冨樫純です。
「ラベリング論」についてのコラムを紹介します。
筆者の言うように、レッテルを貼ることによって、逸脱者が生み出されるかも知れないと思いました。
犯罪者はどのように生まれるのか。
この問題をめぐって、その原因を個人の性格や生育歴、あるいは個人が社会から受ける緊張などに求める研究がある一方、それとはまったく違う視点を提供したアメリカの社会学者がいる。
「ラベリング論」で有名なハワード.ベッカー教授である。
彼は、犯罪者や異常者などの「逸脱」が生まれる理由について、次のような新たな視点を提供した。
「社会集団は、これを犯せば逸脱となるような規則をもうけ、それを特定の人々に適用し、彼らにアウトサイダー(集団からの逸脱者)のレッテルを貼ることによって、逸脱を生み出すのである。
この観点からすれば、逸脱とは人間の行為の性質ではなくして、むしろ、他者によってこの規則と制裁とが「違反者」に適用された結果なのである。
逸脱者とは首尾よくこのレッテルを貼られた人間のことであり、また、逸脱行動とは人々によってこのレッテルを貼られた行動のことである」(『アウトサイダー』村上直之訳、新曜社、1978年、17ページ)。
逸脱という問題は、個人の側の問題にとどまらず、それを社会がどのように見なしているのかにかかわる問題なのである。
ちなみに、ベッカー教授は、私の大学院時代の先生でもあった。
先生の授業では、学生たちが自分で決めたフィールドに出かけ、そこでの出来事を書き記すフィールドワークの方法を習った。
毎週、観察記録をおさめたフロッピー(1984年当時、すでにマックを使った授業だった!)を先生に提出する。
すると、そこにゴシック体で先生がコメントをつけてくれる。
たいていのコメントは、他の視点に立ったら、観察した事柄はどう見えたかという内容だった。
ものを見る視点によって、その意味が違ってくる。
下記の本を参考にしました