こんにちは。冨樫純です。
「考える読書 4つのヒント」についてのコラムを紹介します。
一度にすべて実践することは難しいかもしれませんが、一つでもやってみようと思いました。
思考力育成読書法として、4つを紹介しよう。
① 論争を読む
批判力を身につけるためのひとつの方法は、すぐれた「論争」を読むことである。
ひとつの事件やことがらをめぐって、複数の論者が議論を戦わせる。
雑誌や新聞紙上で繰り広げられる論争や、それらを集め一冊の本にしたものを材料に使うのだ。
この方法の利点は、すぐれた論者たちの批判のしかたを実例をもって学べるところにある。
② 先を読む読書
これは、詰め将棋ならぬ「詰め読書」の方法。
詰め将棋のように、詰めの部分を自分で考えることによって、考える力を高める読書法である。
選んだ本の一段落なり、一節なり読んで、そこまでの情報をもとに、次に著者がどんな議論を展開するのかを自分で予想してみるのだ。
著者のそれまでの議論を材料に、自分なりの議論を組み立ててみる。
その後で、実際に著者がどのように書いているのかを確かめるという方法だ。
これによって、自分の展開した議論と著者の議論とで、詰めの厳しさ、甘さを比べたり、結論が同じ方向に向かっていたかどうかを点検することができる。
さらには、著者が問題を提示したところで、いったん本や論文を置き、どんな方法を使って著者が論証をしようとするのかを予想する。
どんな証拠を持ってくるか。どんな資料に当たるのか。「自分だったら」という立場に立って、こうした点を検討してみるのである。
この方法を実践するうえで、新聞の社説や『日本
の論点』(文春秋)の論考などが役に立つ。
後者は、各執筆者の立場が比較的明解なので、予測が立てやすいだろう。
③ 古い文章の活用
昔出版され、話題となった本、あるいは10年くら
い前の新聞記事を読み直してみる。
当然ながら、今の私たちは、その後の時代の変化を知っている。
そうした有利な立場から、その文章が書かれた当時、どのような制約があって、今から見れば気づくような問題が見えなかったのか。
時代の制約ということを、後世の立場から検討してみるのだ。
④ 書評のすすめ
書評は、本のエッセンスをとらえたうえで、まだ読んでいない人にもわかりやすく説明し、さらには読み手の問題意識に引きつけて、批判やコメントをする文章のことである。
したがって、書評を書くことは、その文章のエッセンスを的確にとらえ、それを明確に表現する練習となる。
同時に、本を褒めちぎった書評は、物足りないもの、本の問題となる箇所を的確に指摘しておくことも書評にとって大切なのである。
新聞の書評を参考に、同じ本を自分なりに書評してみたらどうか。
下記の本を参考にしました
『知的複眼思考法』
誰でも持っている創造力のスイッチ
苅谷剛彦著
講談社+α文庫