こんにちは。冨樫純です。
「群雄割拠の古代論者たち」についてのコラムを紹介します。
歴史的資料が無ければ解明されにくいと、改めて感じました。
ミレトス学派の哲学者たちと同様、ソクラテス以前の他の哲学者たちについても資料が乏しく、生没年すらはっきりしないのが実情です。
ヘラクレイトスは紀元前6世紀前後に活躍した哲学者です。
「万物は流転する」という言葉で知られ、この世の一切は変化してやまないと主張しました。
また、「万物のアルケーは火である」と言ったとも伝えられています。
ヘラクレイトスは、のちにヘーゲルやニーチェによって高く評価されることになります。
万物の生成変化を主張したヘラクレイトスに対し
て、一切の生成変化を否定したのがパルメニデス(紀元前6世紀後半生)です。
パルメニデスは、運動や生成変化は感覚にもとづく錯覚にすぎず、理性によってとらえられる真理は不変不動で分割できない存在である、と主張しました。
この主張を論証しようとしたのがゼノン(紀元前5世紀初生)です。
「飛んでいる矢は止まっている」「アキレウスは亀に追いつけない」といったパラドックスによって、運動そのものを否定しようとしました。
パルメニデスもゼノンも、南イタリアの町エレアで活躍したため、エレア学派と呼ばれています。
ヘラクレイトスとパルメニデスという、まったく異なる立場を調停しようとしたのが、デモクリトス(紀元前5世紀末生)に代表される原子論者たちです。
アトム(原子)とは「分割できないもの」という意味です。
彼らは不変の原子の離散集合によってものの生成
変化を説明することで、不変の存在を主張するパルメニデスの思想と、生成変化を主張するヘラクレイトスの思想を調和させようとしたのです。
下記の本を参考にしました
『1日で学び直す哲学』
常識を打ち破る思考力をつける
甲田 純生著
光文社新書