とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

DVや児童虐待と法律

こんにちは。冨樫純です。

 

『「親密圏」における暴力』についてのコラムを紹介します。

 

度を越した、痴話喧嘩や子どもの躾に公的な機関の介入があり、課題もあることがわかりました。


2001年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(以下 DV 防止法と略記)が成立した(2004 年、2007年改正)。

 

これまで、夫婦喧嘩、家庭内のこと、個人的なことと考えられてきた。

 

配偶者間の暴力が、重大な人権侵害· 犯罪となる行為であり、 国および地方公共団体が対応すべき 「公的な事柄」であることが明確にされた。

 

配偶者には法律上の夫婦のほか、事実婚内縁を含み、また改正法では離婚後の配偶者などにも拡大された。

 

暴力の態様も、身体的暴力のほか、改正法では心身に重大な影響を及ぼす言動も加えられた。

 

被害者自身が自分の身を守る手段として、6カ月の接近禁止命令、2週間(改正法で2ヵ月に延長)の退去命令という二種類の保護命令が新設された。

 

保護命令は、被害者の申立てに基づき、地方裁判所から出される民事上の命令であるが、達反した場合は、懲役1年以下あるいは 100万円以下の罰金という刑事罰が科される。

 

改正法では、子どもや親族等に対する接近禁止命令も可能になった。

 

また、都道府県に設置(改正法により市町村にも設置可)される配偶者暴力相談支援センターを中心として、関係諸機関· 民間のグループとも連携協力して、被害者の相談.援助(自立支援を含む)を行うことが規定された。

 

被害者が暴力から逃れ、 一時的に避難する先とし
てシェルターなどの整備も進められている。

 

DV防止法成立後、警察による保護を含め、関係系機関での対応の体制の整備が進められている。

 

特に、改正法では各都道府県に DV 防止のための基本計画の策定が義務づけられ、対応のいっそうの充実が期待される。

 

また、法律で、人権侵害と明確に規定されたことにより、社会的な認知も一定程度進んだということができる。

 

新設された保護命令申立て処理件数は、2001年が1398件だったところ、翌年には1822 件、翌々年には2133件と 2000 件を超え、2008年にはついに3143件に達するなど、増加傾向にある。

 

センターや警察への相談件数も、増加している。

 

保護命令に関しては、残された課題も多い。

 

手続きの簡略化や緊急性の高い場合の保護命令の新設、相談·支援などに関しては、24時間体制の実現や二次被害の問題などの課題がある。

 

さらに、加害者の処罰、処遇などについてふれられていないDV防止法の制定は、従来の公と私の区分が大きく再編されたことを意味している。

 

また、この法律により 「親密圏」という概念が単なる思想上、理念上の概念ではなく、実態をもった概念として登場してきたことを意味している。

 

それと同時に、私的領域 プライバシーの領域である「親密圏」への公的な機関の介入のあり方をめぐっても、十分に検討されるべきであろう。


下記の本を参考にしました

 

『現代政治理論』 新版
 川崎 修 他1名
 有斐閣アルマ