とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

ローズヴェルト大統領の悲劇

こんにちは。冨樫純です。

 

ローズヴェルト大統領」についてのコラムを紹介します。

 

人は挫折や悲劇を経験し、それを乗り越えたとき、人間的に成長すると改めて思いました。

 

ニューディール政策を進めて世界恐慌にたちむかい、第2次世界大戦で全体主義諸国と戦い、戦後の国際秩序の方向性を指導し、4選をはたした唯一の大統領がF.ローズヴェルトである。

 

20世紀に登場した、偉大な指導者の1人である。

 

ただ彼がアメリカ史上唯一の身体障害をもった大統領だったことは、アメリカ人のなかでも知らない人がいる。

 

これは彼が車いす姿の写真や映像を嫌い、メディアの側もあえて報道しなかったことによる。

 

ローズヴェルトの身体に異常がおこったのは、
1920年の大統領選挙で、民主党の副大統領候補となったが敗北し、妻と子どもにかこまれた家庭生活にもどったときだった。

 

突然、小児麻摩またはギランバレー症候群と推定される病に冒され、下半身が動かなくなった。

 

以後必死にリハビリに努め、温泉治療の効果もあって回復をみせ、なんとか歩行できるようにまではなった。

 

このできごとはローズヴェルトにとっては悲劇であったが、性格的には大きなプラスとなった。

 

もともと金持ちの名門生まれで、少年時代はヨーロッパの貴族のように家庭教師が教育にあたり、庶民との交流はゼロだった。

 

そのため上流階級の人間にありがちなエリート意識と感性をもっていたが、この悲劇のあと、微慢さが消え、他人の言葉に耳をかたむけるようになったと、彼と親しかったパーキンス女史は証言している。

 

ラジオをとおして国民に直接語りかけた談話の「あたたかさ」 は、素質としての社交性の豊かさやすぐれた弁舌だけに依拠しているのではなく、この病魔の克服という彼自身の必死の努力の結果であり、それが国民の圧倒的な支持をえる背景となった。

 

彼の偉大さは他人にはまねができない自信、エネルギー、行動力、楽天性を備え、どんな状況になってもたえず努力し、最後まで消化不良をおこすことがなかった点にある。

 

もちろん彼には、第2次世界大戦中において日本人だけを強制収容所に収容したことや、黒人の公民権法案に反対したことなど、人種差別的な側面もあったことも事実であるが、大統領として「草の根民主主義」の手法で、アメリカ国民が直面した問題の解決をはかった。

 

下記の本を参考にしました。
 
『新 もういちど読む 山川世界史 』
「世界の歴史」編集委員会 (編集)
 山川出版社