とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

産業革命時の意外な事実

こんにちは。冨樫純です。

 

「二重革命·複合革命」についてのコラムを紹介します。

 

産業革命時の年間成長率が、1780年代にはいっても推定1.3%にすぎず、ようやく1801~31年に、年間成長率がようやく約2%に達した、という事実に驚きました。ぼくのイメージでは、もっと成長していたと思っていたので。

 

18世紀後半から19世紀前半にかけて、欧米では「二重革命」とよばれる大きな変化がおこった。

 

二重革命とは、経済の領域においては資本主義にもとづく工業化、社会体制の領域においては自由主義にもとづく市民社会の現実化、そして政治の領域においてはナショナリズムにもとづく国民国家の建設という、産業革命と市民革命が同時におこったことをいう。

 

イギリスからはじまった産業革命は、従来考えられていたより漸進的であり、イギリスの国民生産の年間成長率は1780年代にはいっても推定1.3%にすぎず、ようやく1801~31年に、年間成長率がようやく約2%に達した。

 

現代の経済成長率からすれば低すぎて、とても 「革命」の名に値しない。

 

それゆえ 「産業革命」は存在しなかったとする議者がいることも事実である。

 

しかし、それでも中·長期的なスパンで考えると、産業革命によってはじまった工業化(産業化)が、現代の大量生産大量消費型の経済をもたらすきっかけとなったことはまちがいなく、この意味で 「革命」 と呼べる。

 

イギリスの先進技術は、19世紀にはいってフランス·アメリカなどの西欧諸国に移転され、各国でも産業革命が進行した。

 

こうしたイギリス·アメリカ·フランスの3国が経験したのが、市民革命である。

 

そこでは資本主義の全面開花のための諸条件の確立に加えて、立憲主義の確立(=絶対王政の廃止)、全人民(ただし実質的には男性)の法的·身分的平等の確立(=身分制の廃止)などが実現する。

 

この結果、古い家柄ではなく、個人の才能が重んじられる市民社会が成立し、その主要な担い手であるブルジョワジー(有産市民) が経済的な自由主義にもとづき資本主義的工業化を推進することになった。

 

ただ、最近の市民革命の研究では、「複合革命」という視点、すなわちブルジョワジーの動向だけでなく、貴族· ブルジョワジー・都市民衆·農民など、各政治勢力の協カや対立などの複雑な動きを分析して、革命の全体像を明らかにしようとする傾向にある。


下記の本を参考にしました。
 
『新 もういちど読む 山川世界史 』
「世界の歴史」編集委員会 (編集)
 山川出版社