こんにちは。冨樫純です。
「社会保険の2面性」に関するコラムを紹介します。
2面性のバランスをとったような現状の感じは、個人的には賛成です。
社会保険には、「保険」に由来する等価交換·効率·自由という保険原理の要素と、「社会」に由来する社会連帯·公正·平等という扶助原理の要素との2つの中心が混在している。
しかも、同じ社会保険といっても、各国、各時代、各制度によって、この両要素のいずれかにもっと重点を置いた制度設計が可能。
このため、社会保険は、その19世紀末のドイツでの誕生以来、市場経済重視や自由主義の立場からは国の強制は余計なことで、もっと個人責任や民間保険でやった方が効率的だと批判されてきた。
逆に、もっと平等や公平性を重視する立場からは、不徹底な仕組みで、むしろ社会主義などの平等な社会の実現を阻む、資本主義の生き残りのための策だと批判されてきた。
でも、現実を直視すると、このような相矛盾する2つの要素を同時に1つの制度の中に内包することが、社会保険の強みであり、ダイナミズムの源泉でもあったといえるのではないだろうか。
私たちは、自分の努力と才賞·青任で生活設計をしていく自由主義·資本主義の社会に生きている。
しかし同時に、その中で個人の力を超えた災害に
対しては、損得を超えて連帯し、助け合っていこうという意思ももっている。
社会保険の2面性は、こんな私たちが生きてきた社会の価値観にもっとも適合的だった。
だからこそ、その不徹底さが批判されながらも、現実の社会で、多くの国民に受け入れられ、ここまで巨大な仕組みとして成長したのだと思う。
下記の本を参考にしました。
『はじめての社会保障 』福祉を学ぶ人へ
椋野美智子・田中耕太郎著 有斐閣アルマ