とがブログ

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厚生年金の廃止の現実性

こんにちは。冨樫純です。

 


「厚生年金の廃止」に関するコラムを紹介します。

 


少子高齢化の影響は、かなり大きいと改めて感じました。

 


賦課方式では若い世代は払った保険料より受け取る年金が少なくなるから、厚生年金は廃止し、その分自分で運用した方がいい、そんな意見を聞いたことがない?

 


たしかに、人口構成の急速な少子高齢化によって、後の世代になるほど払った保険料に対するもらえる年金の割合は小さくなる。

それなら、賦課方式の入った厚生年金は廃止し、民間で完全積立て方式で年金基金を運営することにした方が本当にいいのだろうか?

 


まず、若い世代では受け取る年金が保険料より少なくなるという点だけれど、事業主負担分を合わせた場合のこと。

本人負担分だけであれば、どの世代でも受け取る年金の方が多い。

 


次に、保険料を払い始める20歳から年金を受け取り終わる平均して80歳ぐらいまでという長い間を考えると、いつ大きな経済変動があってインフレ(大幅な物価上昇)で積立て金が目減りし、年金の実質価値が大幅に減ってしまうかわからない。

 


また、今まで保険料を支払った人たちに将来年金給付を行うことを約束しおり、厚生年金だけでも約束している額と積立て金の差は330兆円に上る。

すでに約束した分は何らかの形で負担しないといけない。

 


そうすると、この給付が終わるまでの当分の間は、現役世代が、この給付のための負担をしながら、自分の老後のための積立ても負担する「二重の負担」をしなければならなくなる。

 


そう考えると、厚生年金の廃止はあまり現実的ではなさそうだ。ただこの意見の背景には、将来世代の負担が重くなりすぎるという問題があり、これは真剣に受けとめる必要がある。

 

女性や高齢者の就労を促進して支え手を増やす、給付を引引き下げる、保険料の引き上げを前倒しにして積立て金を増やす、などの方策が提案されている。

 


下記の本を参考にしました。

『はじめての社会保障 』福祉を学ぶ人へ

椋野美智子・田中耕太郎著  有斐閣アルマ