とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

政治哲学とは その3

こんばんは。冨樫純です。

 


何年か前に、ハーバード白熱教室と題したテレビ番組がありました。

そこで、人気のサンデル教授の講義を見て、政治哲学というものに興味を持ちました。

ぼくと同じように興味を持った人は多いと思います。

今になって、体系的に政治哲学を学びたいと思い、まず、ネットで調べてみました。

 


今回のテーマは、政治哲学の主な議論です。

 


政治哲学の議論には3つの流れがあります。

最初に明確な流れとして成立したのはリベラリズムです。

そのリベラリズムを批判する形でリバタリアニズムコミュニタリアニズム共同体主義)が成立していった、というのが大きな流れです。

 


古典的自由主義の伝統

 


政治哲学におけるリベラリズムは、自由主義古典的自由主義)の伝統を継承し、発展したものです。

ここで注意しておきたいのが、政治思想・社会思想としての自由主義リベラリズムの違いと関連性です。

 


自由主義ジョン・ロックやカントなどの哲学者、思想家たちによって生み出された、社会契約思想や啓蒙思想の中で発展した思想。個人の身体や財産の自由を求める思想。

 


リベラリズム(政治哲学)…ロックやカントの思想を継承しつつ、ジョン・ロールズが発展させた現代の政治哲学における思想。

 


実際、自由主義リベラリズムとも言われますし、政治哲学のリベラリズム自由主義思想の一部として論じられることも多いです。

 


しかし、政治哲学について学ぶ場合に限っては、古典的な自由主義思想とそこから発展したリベラリズムの思想は区別しておくことが大事です。

 


これからの説明の中では、自由主義古典的自由主義リベラリズムを現代リベラリズムと区別します。

 

 

 

自由主義の原点 ①ジョン・ロックの思想

 


ジョン・ロック(John Locke)は自由主義思想の原点と言われることがある思想家です。

 


ロックは国家の権力の範囲について、国家は国民の所有権(生命、自由、財産の権利)の調整、保護のために存在する。

 


 

国家の権力は「立法部」によって行使されるが、立法部が個人の所有権を侵害した場合は、個人は抵抗する権利があると主張しました。

つまり、国家権力に対して個人の自由を侵害しないことを主張したのです。

 


ここから現代にいたる自由主義思想が発展し、リベラリズムの源流になりました。

 


自由主義の原点 ②カント

 


ロールズに繋がる自由主義の原点としては、カント(Immanuel Kant)の存在も大きいです。

 


カントの自由主義思想としての成果は、人類が普遍的に持つ「人権」のベースとなる思想を作ったことです。

近代以前は、人間の行動原理は「神や支配者の啓示」から説かれていました。

 


つまり、人間の生き方が「神」や「支配者」がこう言ったから、という理由から決められていたわけです。

カントはこうした思想を「他律的」であるとして批判します。

それに対して、近代以降の人間は自分で自分のルールを作って行動していくことができる。これをカントは「自律」と言いました。

 


ここで気をつけなければならないのが、欲望や自己利益などの経験的なことに基づいて行動することは、「他律」であると考えられたことです。

人間の真の自由は、「自律」的な行動、つまり自分で目的を定め、ルールを決めた場合のみに生まれるものだとカントは考えました。

 


また、カントは、人間の行動の価値は行動の結果ではなくその動機にあると考えました。

自分で定めたルール(道徳律)のためになされた行動が、結果に関わらず道徳的に正しいということです(義務論)。

 


こうした考え方は、のちに現代リベラリズムを成立させた、ジョン・ロールズに継承されます。

 


下記のサイトを参考にしました。

https://liberal-arts-guide.com/political-philosophy/