こんばんは。冨樫純です。
前に本を紹介するブログを書きましたが、その本には、他にもおもしろいと思う箇所があったので、紹介します。
ちなみに、その本とは、『現代政治学』
加茂利男・大西仁・石田徹・伊藤恭彦著
有斐閣アルマです。
新聞やテレビでよく行政改革という言葉を耳にする。
一般的にいえば、行政機構や行政組織の改革を意味する言葉である。
しかし、行政改革にはいくつかの異なる内容が含まれている。ここでは3つ紹介しよう。
第1は、社会の変化に応じて、より効率的な行政を行うための組織改革という意味である。
公害問題の深刻化に対応するために環境庁が設置されたとか、自治体でサッカースタジアムのような大型プロジェクトを推進するために「○○スタジアム建設室」が設置されるといった場合がこの事例である。
第2に、国家の財政危機の中で、国家機能を全体としてスリムにする政策の一環としてなされるものがある。1980年代、先進国の新保守主義政権が取り組んだ行政改革がその具体例である。
日本でも中曾根首相(当時)が、行政改革を旗印に国鉄、電電公社の民営化を行った。
これは、福祉国家(大きな政府)の危機への対処としての行政改革という意味をもっている。
第3は、肥大化し特権化する官僚制にメスを入れ、政治(政治家)の優位を回復するための改革である。
近年の日本の行政改革では、この三つが複雑にからみあって展開されている。行政改革は、官僚の特権や「縄張り」にメスを入れざるをえないものであるから、官僚の抵抗が非常に大きい。
さらに、民営化や市場原理の導入といった経済構造の改革と連動する課題でもある。
したがって、「ムダをなくそう」という小学生でもわかるスローガンを掲げながらも、つねにその実現が難しい政治課題となるのである。