とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

民事裁判とは

こんにちは。冨樫純です。


「民事裁判」についてのコラムを紹介します。


私人間の紛争においては、裁判になるべく持ち込ままいようにしているイメージがありました。


最後の手段が裁判だと、改めて思いました。


私人間の紛争(民事紛争) は、当事者が和解(示談) や調停等の方法によって自主的に解決することができるが、それが功を奏さない場合に、最後に控えているのが 「裁判」である。


裁判とは、裁判所が紛争の解決について下す裁断のことをいう (判決、決定、命令の3形式がある)。


「訴訟」は裁判のための典型的な手続であり、民事訴訟の手続は 「民事訴訟法」 が定めている。


なお、民事紛争のなかでも家事紛争については特別の手続があり、行政訴訟については行政事件訴訟法による。

 

「裁判」がそれ以外の紛争処理制度と最も違っているのは、裁判には強制がともなうということである。

 

たとえば示談(和解)であれば、紛争当事者が自発的に交渉のテーブルにつく必要があるし、両当事者が示談の内容に合意をする必要がある。


しかし、訴訟においては、訴えられた当事者には応訴義務があり、欠席すれば相手の主張を認めたものとされて欠席判決をうける場合がある(民訴159条)。


また、一方の当事者が判決の内容に不満でも(両当事者が別の解決に合意しないかぎり)、判決が確定すればそれがその紛争の最終的な解決基準とされるのである。


下記の本を参考にしました。


『はじめての法律学』HとJの物語

  松井 茂記 他2名

  有斐閣アルマ

名誉、プライバシーとは

こんにちは。冨樫純です。


「名誉・プライバシー」についてのコラムを紹介します。


名誉やプライバシー侵害は、その線引きがわかりにくいというイメージがありますが、おもしろそうなテーマだと思いました。


名誉やプライバシーのような個人の 「人格」 に関わる利益のことを「人格権」という。


名誉については民法710条723 条に規定があるが、戦後になって、種々の人格的利益が法的保護の対象上なることが認識されるようになってきている。


これは、一方で人間の尊厳への自覚が高まったこともあるが、他方でマスメディアの発達による人格権侵害が急増したことも影響している。


そのことを反映して、名誉戦損(他人の社会的評価を低下させる行為)やプライバシー侵害 (私生活をのぞいたり、私生活を公開する行為)については、民主主義の根幹をなす表現の自由(21条)との衝突が問題となることが多い。


新聞報道が公共の害に関する事実について公益目的からなされた場合には、その内容が真実であれば(あるいは報道機関がそれを真実と信ずるにつ

いて相当の理由があったのであれば)不法行為にならないとされ、報道の自由と名誉権の調整が図られている。 (最判 1966 [昭和41]-6-23民集20 巻5号1118頁)。


他人の私生活をみだりに公開することは(たとえ好意的になされたとしても)プライバシー侵害として不法行為になるが、たとえば政治家の前科のよう

に、公人や公職の候補者に対する評価を下すための資料として公開される場合には、その目的の社会的正当性から許される場合があると解され、表現の自由プライバシー権が調整されている(「宴のあと」事件=D東京地判 1964 [昭和 39]·9·28下民集15巻9号2317 頁、判時 385号 12頁参照)。


また、最近では、プライバシー権をより積極的に「自己の情報をコントロールする権利」 ととらえなおす見解も有力化している。


知らない業者からダイレクトメールが送られてくるなど個人情報が流通している状況を背景とする考え方である。


個人情報保護法行政機関個人情報保護法などの立法によって、個人情報の目的外利用の規制や本人関与のしくみなど法整備がなされている。


下記の本を参考にしました。


『はじめての法律学』HとJの物語

  松井 茂記 他2名

  有斐閣アルマ

少年院とは

こんにちは。冨樫純です。


「少年院と少年院における再入率」についてのコラムを紹介します。


少年院とはどういう場所なのか勉強になりました。


また、再入率が16%というのは個人的には高いと思いました。

 

相対的なものなので、判断が難しいとは思いますけど。


①少年院


少年院は、「家庭裁判所から保護処分として送致された者(および 2001年4月からは、少年法56条3項による少年院収容受刑者)を収容し、これに矯正教育を授ける施設」、つまり教育施設である(少年院法1条)。


少年院には、(1)14歳以上おおむね16歳未満を対象とする初等少年院、(2)おおむね16歳以上 20歳未満を対象とする中等少年院、(3) 犯罪的傾向の進んだおおむね16歳以上23歳未満の者(および2001年4月からは、少年院収容受刑者)を対象とする特別少年院、(4)心身に著しい故障のある14歳以上26 歳未満の者を対象とする医療少年院があり、それぞれ男女別に収容する(少年院法2条)。


収容者は、近年、4000人前後である。


ここにいう「矯正教育」とは、少年を社会生活に適応させるため、その自覚に訴え規律ある生活のもとに、学校の教科教育や職業の補導、適当な訓練および医療を授けることである(少年院法4条以下)。


収容期間は一般短期処遇、 特修短期処遇および長期処週で異なり、一般短期は6ヵ月、特別短期は4ヵ月、長期は短期処遇になじまない者を対象とし、最長で3年である。


処遇期間内の教育課程は新入時教育と中間期教育、出院準備教育に分かれている。

 

新入時教育は1ヵ月程度で、健康診断や身上調査などが行われ個別的処遇計画が作成される。


中間期教育では、少年の特質や教育上の必要に応じて、生活指導、職業補導、教科教育、保健体育、自主活動や院外教育活動、クラブ活動、レクリエーション、各種の行事からなる特別活動といった矯正教育が行われる。


出院準備教育では、社会生活への円滑な適応をはかるため、対象者の必要に応じた進路指導が行われ、就職希望者に対する求職方法等の具体的指導、進学希望者に対する受験指導 受験外出、進路未決定者に対する情報提供などが行われる。


その結果、進路未定のまま出院する者は、近年では数%にすぎない。


②少年院における再入率


少年院収容者の中で、少年院を出たあとふたたび少年院収容の保護処分決定を受けて戻ってくる者の比率は、近年では16%程度である。


これは、成人の一般刑務所における約60%という再入率と比較すれば、はるかに小さい数字である。


もちろん、少年が成人後に犯罪を犯して施設に収容される場合は刑務所に送られるのであるから、この数値をして少年院収容の犯罪予防効果が刑

務所より高いと即断することはできない (その割合は9% 程度である)。


しかし、少年非行の一過性や出院者の高い進路決定率を考えるなら、成人受刑者よりも少年院収容者のほうが社会復帰は容易であるといえよう。


下記の本を参考にしました。


『はじめての法律学』HとJの物語

  松井 茂記 他2名

  有斐閣アルマ

受刑者の社会復帰

こんにちは。冨樫純です。


「一般の刑務所と受刑者処遇」についてのコラムを紹介します。


テレビドラマなどで「模範囚」などの言葉がありますが、累進処遇制度に基づくものであることを学びました。


一般の刑務所


懲役や禁鋼を執行するいわゆる刑務所は、法律では 「刑事施設」 という (刑事施設2条)。


そのなかには、成人を対象とする一般刑務所と、

20歳未満の懲役·禁鋼受刑者(26 歳まで継続可)を対象とする少年刑務所(少年法 56条)とがある。


「交通刑務所」は、一般刑務所に属する。


一般刑務所は全国に55、少年刑務所は全国に8つ

存在する。


また、女性を対象とする女子刑務所も、全国に5ヵ所ある。


さらに、医療を必要とする受刑者に対して、全国に4カ所の医療刑務所がある。


刑務所では、懲役の場合は所定の作業を行う (刑 12条2項)。


これを「刑務作業」という。


懲役はもともと、施設に閉じ込めて労働を行わせること自体を刑罰の内容とするものであった。


しかし、現在では、このように労働を「罰」としてとらえる考え方は克服されており、むしろ刑務所内での労働は、受刑者の勤労意欲を高め、職業上有益な知識および技能を修得させる可能性をもつものとして位置づけられている。


禁鋼の場合は刑務所に閉じ込めることのみが刑罰内容であるが、このような刑務作業の積極的性格を理由に、実際にはほとんどの禁鋼受刑者が請情願という形で刑務作業に従事している(刑事施設

72条)。


ゆえに、実際には、懲役と禁鋼を区別する意味は薄れつつあり、刑罰内容は自由を奪うことだけにとどめて、刑務作業を受刑者の自発性にもとづく社会復帰のための機会提供とすべきだとする議論もある。


受刑者処遇


受刑者処遇の基本制度には、分類処遇制度と累進処遇制度がある。


分類処遇制度とは、個々の受刑者を一定の分類基準に応じて分類し、各分類に応じた有効な処遇を行うことである。


このなかには、犯罪傾向の進んでいない A級と、犯罪傾向の進んだB級との区別もある。


犯罪者処遇の理想は、1人ひとりに応じた刑罰の個別化個別的処遇である。


しかし、完全な個別化には膨大なコストがかかる

のであり、現実には、同じような問題性をもつ者をまとめて処遇するという方法を取らざるをえない。


累進処遇制度とは、刑の執行に第1級から第4級までの4つの階級を設け、入所当初の最下級(第4級)から、刑務所内での態度や作業成績に応じて順次上級に進級させ、それにあわせて優遇を与えたり自由制限を緩和したりする処遇方法である。


これは、受刑者を実社会の生活に近づけるとともに、社会への適応をはかることを目的とする。


刑期6月以上の懲役受刑者が対象となる。


さらに、居室や食堂、工場などに鍵をかけず、また、面会をなるべく立会者なしで行わせることなどを内容とする開放的処遇がある。


主として交通事犯や女性受刑者等を対象に行われている。


また、開放的処遇では、刑務所の外にある工場や農場などに通勤したり、社会奉仕活動や講演会等への参加、資格取得のための受験といった施設外教育も行われている。


下記の本を参考にしました。


『はじめての法律学』HとJの物語

  松井 茂記 他2名

  有斐閣アルマ

 

交通刑務所とは

こんにちは。冨樫純です。


「交通刑務所と交通事犯受刑者」についてのコラムを紹介します。


通常の刑務所の他に、交通刑務所なるものがあり、区別されている理由も学ぶことができました。


①交通刑務所とは


交通刑務所とは、交通事故における過失致死傷罪または危険運転致死傷罪道路交通法違反のいずれか、または双方を理由に懲役または禁鋼の刑を受けている者(交通事犯受刑者)だけを収容する専門の刑務所で、わが国では、千葉県の市原刑務所がそれに当たる。


もっとも、それ以外の地域でも、通常の刑務所の一画を区切って交通事犯受刑者だけを集めて刑を執行することはある。

 

これらを、交通事犯受刑者の集禁処遇という。


交通事犯受刑者の集禁処遇は、現在、全国8ヵ所の施設で行われている。


このように、交通事犯受刑者だけを別に集めて処遇するのは、一方で、一般の刑務所の受刑者には暴力団の構成員などのように犯罪性の進んだ「プロ」 の犯罪者が多いため、交通事犯のみを理由とし犯罪性のあまり進んでいない受刑者がそのような者から犯罪の手口を学んだり犯罪組織に誘われたりすることを防ぐためであり、他方で、交通犯罪者に対して交通教育という単一の目的の下に密度の濃い効果的な処遇を行い、再社会化を図るためであるとされている。


②交通事犯受刑者の特徴


一般的にみて、交通事犯で懲役、禁鋼の実刑となるのは、過失致死傷罪ではいわゆる 「ひき逃げ」を伴うものが多く、道路交通法違反では常習的傾向のある悪質事犯者が中心である。


もっとも、このように重大または悪質なものが中心だといっても、交通事犯の場合には一般の犯罪に比べて社会復帰は容易である。


年齢では一般の受刑者と比べて20歳代の若年層が多く、就学中の者を除き、犯行時に無職であった者はきわめて少ない。


また、出所時に仕事の決まっている者の割合もきわめて高い。


交通刑務所の再入率(出所者のうち、ふたたび刑務所などの施設に戻ってきた者の割合)は数%にすぎない。


逆に、一般の刑務所における受刑者の平均年齢は40歳を超え、犯行時に無職であった者の割合もきわめて高く、再入率は平均して60%を超える。


なお、過失致死傷や危険運転致死傷を理由に第一審で懲役または禁鋼の実刑を言い渡された者は、1971年の4845人をピークに減りつづけたが、量刑の重罰化傾向に伴い1998年から増加に転じ、2008年では654人となっている。


これは、交通事故の増加に対して懲役、禁鋼という刑罰による威嚇で対処しようとした1960年代から70年代前半にかけての刑事政策が見直され、「犯罪者」らしくない一般の市民が犯す交通事犯に対しては被害者への賠償などを通じて反省と紛争解決を図り、とくに悪質なものに対してだけ、懲役、禁鋼の実刑で臨もうとしたが、近年はマスコミの風潮を反映して、悪質者に対する量刑が厳しくなったことのあらわれである。


下記の本を参考にしました。


『はじめての法律学』HとJの物語

  松井 茂記 他2名

  有斐閣アルマ

即決裁判手続とは

こんにちは。冨樫純です。


「即決裁判手続」についてのコラムを紹介します。


裁判官や検察官の負担を減らすという背景があるのではないかと思いました。


懲役や禁鋼の執行猶予がふさわしい軽微な事件で被疑者の同意がある場合には「即決裁判」 という簡易かつ迅速な裁判が選ばれることがある。

 

すなわち、検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が明白であり、かつ、 軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公訴の提起と同時に、書面により即決裁判、手続の申立てをすることができるのである(刑訴 350条の2第1項。ただし、死刑または無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁鋼に当たる事件については、この限りでない)。


この手続では、略式手続の場合と同じく、被疑者の同意は書面でしなければならない。


この場合において、検察官は、被疑者に対し、即決裁判手続を理解させるために必要な事項(被疑者に弁護人がないときは、次条の規定により弁護人を選任することができる旨を含む)を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げなければならない(刑訴350条の2第3項)。


また、略式手続と同じく、即決裁判でも、刑訴 320条1項による証拠能力の制限は適用されない(刑訴350条の 12。ただし、検察官及び被告人又は弁護人に異議がないときは、この限りでない)。


もっとも、略式手続と異なり、この手続の申立てがあった場合には、被疑者に弁護人がないときは、裁判長は、できる限り速やかに、職権で弁護人を付さなければならない(刑訴354条の4)。


即決裁判では、できる限り、即日判決の言渡しをしなければならないとされており (刑訴 350条の13)、また、即決裁判手続において懲役または禁鋼の言渡しをする場合には、その刑の執行猶予の言渡しをしなければならない(刑訴350条の14)。


また、即決裁判での判決に対しては、裁判所が認定した罪となるべき事実の誤認を理由とする上訴はできない。 被告人は弁護人の助言を得て即決裁判に同意したのであり、不服があれば、判決が言い渡されるまでに同意を撤回して通常の裁判を受けることもできたからである(最決2009 [平21] ·7· 14刑集63巻6号623頁は, この制限を憲法32 条に違反しないとしている)。


この手続では、地裁·簡裁をあわせて年間約5000 人程度が処理されている。


罪名別では、地裁で入管法違反と覚せい剤取締法

違反が比較的多く、簡裁では窃盗罪が圧倒的多数を占めている。


下記の本を参考にしました。


『はじめての法律学』HとJの物語

  松井 茂記 他2名

  有斐閣アルマ

 

 

裁判員の参加する裁判

こんにちは。冨樫純です。


裁判員の参加する裁判」についてのコラムを紹介します。


重大事件に素人裁判員が参加していいのかよく議論になるが、ぼくも責任が重過ぎではと感じます。


裁判員裁判の仕組みを、 簡単に説明しよう。


裁判員裁判では、事件は原則として、職業裁判官3人と素人である裁判員6人から構成される合議体で審理される(争いのない事件では、職業裁判官1人と裁判員4人で審理されるこどもある)。


裁判員は、犯罪事実に関する事実の認定と法令の適用および刑の量定を職業裁判官との合議で判断することとされており、その点では、職業裁判官と同等の権限を有している。


また、事件の判断に必要な事項について、証人を尋問し、被告人に質問するなどの権限を有している。


裁判員裁判の対象となるのは、法定刑によれば「死刑又は無期の懲役若しくは禁鋼に当たる罪に係る事件」 と 「裁判所法 26条2項2号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの」である。


裁判所法26条2項2号に掲げる事件とは、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁鋼にあたる罪」 であって、強盗罪や常習累犯強盗·窃盗および暴力行為等処罰に関する法律の1条の2第1項および第2項ならびに同法1条の3に当たる罪を除いたものをいう。


死刑、無期懲役若しくは禁鋼、短期1年以上の懲役若しくは禁鋼というのは、いずれも、法定刑にそれらが含まれていることを意味するものであって、被告人に対する宣告刑をいうのではない。


裁判員は、選挙人名簿を基にして作られた裁判員候補者名簿から無作為に選ばれて裁判所に呼び出された一般市民の中から、裁判官、裁判所書記官、検察官、弁護人一必要があれば被告人一に、

よって選ばれる。


その際に、法定の欠格事由や就職禁止事由、事

件に関する不適格事由等に該当する者や不公平な裁判をするおそれがある者、法定の辞退事由がある者は選任されない。


また、検察官および被告人は、それぞれ4人の裁判員候補者につき、理由を示さずに不選任の請求をすることができる(理由なき不選任)。


その上で、残った裁判員候補者の中から、くじ等の方法によって、裁判員および補充裁判員が選任される。


これらの裁判員および補充裁判員は、扱った事件に関する評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしてはならないという「守秘義藤」を負う。


裁判員裁判対象事件は、第1回公判期日前に、その争点を明確にし、裁判員の負担を軽減するため、必ず公判前整理手続に付さなければならない。


また、その公判は、通常、日以内に集中的にはき行われる。それ以外の裁判手続は、職業裁判官のみでの裁判とほほ同じである。

 

下記の本を参考にしました。


『はじめての法律学』HとJの物語

  松井 茂記 他2名

  有斐閣アルマ